この本は、2004年夏に行われたユーロとアジアカップを体感した西部さんが、−なぜ日本は連覇を果たせたのか。なぜ強豪国が負けていったのか− を西部さんによる視点で紐解いた観戦記です。
前半部分はアジアカップ。西部さんは、監督ジーコに疑問を抱きつつ、サッカー人ジーコとしてのハイレベルなメンタリティを評価しています。
「単なる悪あがきではない。日本代表チームは、死の瞬間まで、生ある最後の瞬間まで、ただ前のめりに生きることを決めたのだ」
選手たちにもたらされた、このメンタリティによって、奇跡が、感動が、生まれたんです。
もうひとつ、反日感情が巻き起こったアウェイの地の空気や、各国の記者とのやりとりなどは、なかなか面白いです。
後半の部分は、ポルトガルで行われたユーロ04です。
ギリシャが優勝してしまったこともありますが、敗者にスポットが当てられています。
ユーロ04は、ギリシャが勝ったトーナメントと言うよりも、強豪国が負けていったトーナメントという印象のほうが強い大会でした。
なぜ、ポルトガルは決勝で負けたのか。イングランドは、オランダは、フランスは、ドイツはどうして負けたのかを、それぞれの国民性に照らし合わせて、理由を探しています。
とくに、ポルトガルの章は面白いです。「自分らの力で。人々の力で。」 納得です。
新しい発見のない2つの大会でした。見たことある面白みにかける戦術をとったチームが勝ち、ギリシャ人と日本人以外は、ドン引きの結末でもありました。
サッカーはこんなもんでもあるんです。みんな知っているはずです。
でも、サッカーが人々のゲームである以上、勝ったり負けたり、泣いたり喜んだりしながら、明日も今日も変わらず力強く生き、世界中の人々に愛されていくことも、みんな知っているはずです。
人々のゲームですから、大きな進歩なんてなく、なくなることもないんです。
面白く読める本だと思います。笑いどころもありますし、システム論などもわかりやすく書いてあります。
サッカーファンのツボは、ちゃんと押してくれます。
2006
