蹴る群れ

著 木村 元彦

オシムの言葉が大ヒットした木村さんの本が、刊行されました。
本書は3部構成になっていますが、人生と国の歴史がシンクロした稀有なフットボーラー、をさまざまな角度から取材するスタイルは健在です。
サッカーで世界を変えることは無理かもしれない。しかし、サッカーを観ることで世界を知ることはできる。
このことを、木村さんは確信しているといわれています。 内容は、期待を裏切らず、濃いです。

本書は17話ありまして、そう17通りの物語を知ることができるわけですが、僕が最も印象に残ったのは、やはり、デヤン・サビチェヴィッチの話です。

2006年W杯、ピクシーとデーヨが、二人並んでゲームを見ている姿がとても印象的でした。
同じピッチでプレーし、その後もセルビア・モンテネグロの会長、監督という立場で共に戦ってきた彼らも、離れ離れになってしまうんだ。 僕なりにノスタルジーを感じたもんです。
苦難の人生を選手生活だけで終えることなく、歩むことを決めたデーヨは、政治とスポーツは一緒だ、と本書で答えていました。
周りが祭り上げたにせよ、逃げない彼はすごいと思います。

重いテーマが大半を占めますが、13話の土田と田北の話は、とても面白いです。
GKという、特殊なポジションの現実を垣間見せてくれていると思います。
GKはあきらかに苦悩のほうが多い職業。 だからこそ面白いんでしょうね。
この話は、笑えます。

木村さんの本を読むと、いつも、サッカーの持つ使命とでも言いましょうか、その大きさを痛感させられます。
いろいろなものをサッカーは背負っている。
暗い話題もたくさんあります。
ですが、サッカーに希望を感じている。 と木村さんは言われています。
僕もそうあってほしいと願ってます。

2007.03.16