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no.82 2007/10/25

ACL 準決勝 第2戦 浦和レッズ vs 城南一和(韓国)
死闘、制す

浦和がACLのファイナルへと駒を進めた。
これは素晴らしい快挙だと思う。そして、この死闘がファイナル進出の偉大さを教えてくれた。
苦しいゲームだった。城南一和は本当に強かった。
うまくはないけど圧力がすごく、Jの中ではトップクラスの圧力を発揮する浦和を、力づくで押し込んでいた。
このゲーム、オジェックが言うように、僅かな差しかなかったと思う。
その僅かな差を作り出したのは、サポーターでもあるだろう。
この日の彼らは、素晴らしい舞台演出をしていた。
浦和というクラブの勝利、という言い方が一番しっくりくるような気がする。

ゲームは、緊張感に包まれとてもハイレベルだった。
城南一和は、ワシントンのスーパーシュートを食らってから、かなりリスクをおって攻めてきた。
まあ、2点を取らないといけないから当然なんだけど、こういった「生きるか死ぬか」のわかりやすい戦いであることが、この大会、このトーナメントのとても面白いところだ。アウェイゴールというスパイスも、絶妙にきいている。
ただ、浦和は守らせたら強い。田中、ポンテ、ワシントンを除いたフィールドプレーの守備能力は、どこに出しても引けを取らない強さを持っている。
前の3人が、3人で攻め切れる力があるから、その力もより強固になる。いい役割分担が出来ている。

浦和は前半を守りきった。「前半さえ守れれば、後半に入り追加点が奪えるはず」と思ってみていた僕は、前半を逃げ切ったことでかなり勝利が近づいたと思っていた。
そして、予想通りに、後半が始まると浦和がチャンスを作り出す。
だが、決め切れなかったことが痛かった。
城南一和はわざとだったのかもしれないが、浦和の最終ラインが低くなったことで、行ったり来たりのゴール前の攻防が続く。中盤がスカスカになった。
見ている方としてはスリリングで面白い展開になったが、やるかやられるか、の殴り合いは、リードしている浦和にとって好ましくない展開だったと思う。
止めを刺すための勇気ある決断だったともいえるが、足が動かなかった、そして怖かった、というのが本音だろう。

そんな中で、浦和が決定打をぶち込もうとしたところで、カウンターを食らい、失点してしまう。
あそこで坪井が対人勝負に負けたのは痛恨だった。坪井は勝てる、という信頼の元に攻撃をしていただけに、ショックはでかい。
そして、このままのスコアだと勝ち抜く事が出来る、この微妙な心の隙を、勢いに乗る城南一和が一気に付き、勝ち越しゴールを奪った。
ワシントンの先制弾も見事だったが、城南一和のこの泥臭い点の取り方も、見事だった。
城南一和が初めて勝ち抜けのゾーンに入る。
監督はすぐに守備的な選手を投入してきた。わかりやすく、なんともリアルな勝ちにこだわった采配だ。
このトーナメント、監督の采配は大きな影響力がある。

しかし、浦和は底力を見せる。
ポンテのFKを阿部が折り返し、長谷部がしっかりとゴールに流し込んだ。
まさに底力。運でもなんでもなく、チームの力が生んだ得点だったと思う。
このゴールは大きかった。
城南一和は、一度盛り上がりきったテンションを再度沸点にもっていくことはできなかった。
もう気持ちの勝負になった延長戦、浦和はアウェイゴールにおびえながら、必死にゴールを目指す。
城南一和も、誰1人戦っていない選手はいなかった。

PK戦突入。
浦和は足をつった選手も多く、疲労困憊は明らかに見て取れ不利かと思っていたが、そこはホームゲームの力が後押しした。
都築が1つ止め、浦和は全員が決めた。本当にこの重い重いPKをみんなよく決めたと思う。
PK戦での勝利という意味では、多少残念な勝ち方といえるかもしれないが、クラブみんなで勝ったという意味では、これ以上ない幸福な終わり方だったかもしれない。
死闘を制した埼スタは、これ以上ない素晴らしい空間になった。
あれほど喜べるクラブは、世界中を見渡してもそんなにない。
浦和の凱歌を、初めてかもしれない、本当にカッコイイと思った。

このゲームは、浦和の歴史に刻まれ、この先もずっと語られていくだろう。
選手たち、クラブは、このゲームを経験したことで、大きくなり、この勝利を味わったことで、飢えていくだろう。
ACLの価値を浦和は圧倒的に高めてくれた。これからは、誰もがACL出場を1つの目標にする。
本当に快挙だ。日本人として、僕はうれしく、誇らしい気持ちになった。
浦和がファイナルを勝ち取れば、98年W杯出場と同レベルで、日本サッカーが壁を突き破った日、と言ってもいいと思う。
相手はセパハンだ。
川崎戦を見る限り、まったく勝てない相手じゃない。もう誰もがアジアチャンピオンを疑っていないだろう。
きっちり勝って、「日本発、アジア経由、日本凱旋」を果たしてもらいたい。